ユーキの園服のボタンがとれてしまったので、つけてやらなきゃ、と思っているうちに、

バスの時間が迫ってきてしまった。・・・そんなときにふと頭をかすめるのが「出掛けに針を持つな」という母が昔からよく言っていた言葉。その理由は?とあまり考えたことも、質問したこともなしに、「そういうものなのか」と、できるだけそういう時の繕いものはしないようにしてきたけど、今回は「バチが当たるかな。いや、迷信に決まっている。そうだ、そうだ!」と、針を持ってしまった。すると・・・。急いでいたからか、あともうちょっとで終わる、というときに、ついうっかり指を刺して、血を見ることになってしまった・・・。


母が言っていた言葉は、ほかにもいろいろある。

おそらく、母の母や、父や大きい兄姉が、昔からの言い伝えで、よく家で言っていたんだろうと思う。

「夜にツメは切るな」

「夜に笛をふくと、ヘビが来るぞ」

「ご飯に箸を立てるな」

「新しい靴を家の中で試し履きしたまま、玄関に下りるな」

「急須でお茶を注ぐとき、左手に持ち替えたり、外向きに注いだりするな」

「悪いことすると、かみなりさまにおへそをとられて、笑いがとまらなくなるぞ。」

・・・・・。



なぜそういう言葉が生まれたかというと、

まず、「死人と同じようにしない。縁起が悪い」という理由があるのだろう。

それから、「人に迷惑をかけない、行儀を良くするために、頭ごなしに叱るのではなく、罰が当たる、という畏れを利用して、自制心を働かせるようにする」ための言葉があるように思う。

そして、「昔からの知恵」で、「そういう状況で、そういうことをやると失敗することが多いからやめなさい」ということを言っているものもある、と今日は思った。



「出かけに針を持つな」は、急いで失敗して、怪我をするよ、ということだったのかな?

(今までなぜか、特に考えたことなかった。)

同じような理由で、「夜にツメを切るな」は、夜といえば昔は暗かったから、そんな中でツメを切ったら皮膚をはさんじゃうよ、という意味もあったのかな。そこへ「夜ツメを切ると、親の死に目に会えない」という脅し文句をつけて、ただ人が「やめなさい」というよりも一等上からの忠告スタイルとする。



つい先日、息子とお風呂に入っていたら、「ゴロゴロ」と雷の音がした。

それまできゃあきゃあと騒いでいた息子の態度が一変。

「どうしよう!おへそとられる!」

と、ハダカのおへそを両手で隠して真剣(笑)。

私は「だいじょうぶだよ、悪い子のおへそだけ、とりにくるんだよ」

と言ったら、しばらく考え込んで、はっと何かに気づいた顔で、急に大泣き。

聞いてみると、「さっき夕ご飯残した~~~~(泣)」とのこと!

そうかそうか、ママが怒ったこと、知らない顔してしっかり認識していたんだね。

そうそう、その調子で明日からまたおいしくご飯、残さずに食べようね(笑)。

・・・かわいそうな、かわいいような、お話もあったのでした。