ひとこと

人は記憶だけを

よすがに生きていける。

やさしいことば、

いとしいことば

聴覚が 覚えている



せなかのぬくもり。


手触り、感触

皮膚の記憶


みんな私の脳の奥のおくのほうに詰め込まれたまま

火葬されて 煙になって


墓標には 何も残らず




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

湖にかかる大きな橋を

自転車でのぼってくる

若者がいた

その少し後に

やはり自転車の、老人がいた

45年?50年?55年前?のその老人の方の姿  を

想像してみた。


その若者の年寄りになった姿 も

想像してみた。