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スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

今、ムラカミハルキをいくつか読んでいる。

といっても別にファンなわけではないし、ましてやハルキスト なんかじゃない。

と言う人が多いと最近知った、あれだけ売れているのにもかかわらず、周りに誰も読んでいる人がいない、というのは。


とはいえ、ママ友Aさんが貸してくれた1Q84以来いろいろ読んでみたくなり、

ノル森を再読したり、

リサイクルショップで古本をたくさん仕入れてみたり。



それを夫の隣で読むのも気がひけるし

かといって昼間ひとりで読むのも何だし

結局夫が「何読んでるの?」と聞いても

「ムラカミハルキ。」「ふうん」

で終わる会話に意味を見出さないのがいい。


ムラカミハルキ氏は1948年生まれ、62歳。

私の父の1コ下。

私は私の父のような人が書いた(このような内容の)ものに、心を動かされているのか?

と思うと変な感じ。

例えば父が同世代としてムラカミハルキを読んでる、というようなことは想像しにくい。

とは言っても私が高校生の頃、ノル森をすすめてくれた?のは父だった気がする(笑)

たぶん、父は中身も読まずにベストセラーというだけで買ってきたんじゃないか、というような記憶がかすかにあるので、

今そう思うことにする。

ただ、読んでいると父や母にもそれぞれの心の澱(おり)があり、男や女だったんだろうという当然といえば当然のことが、

静かに思われてくる。



1987年 氏38才 「ノルウェーの森」 私中3

  90   41才 「TVピープル」

            (我らの時代のフォークロア

            (眠り)     

  92   43  「国境の南、太陽の西

  95   46  「ねじまき鳥クロニクル」 私社会人1年生

  96   47  「村上春樹河合隼雄に会いにいく」

  99   50  「スプートニクの恋人

2005   56  「東京奇譚集」(偶然の旅人) 

                   (日々移動する腎臓の形をした石)

 

心に残った作品群。

私も、ハルキ氏が書いた年齢になってようやく、

その作品の中身がす・こ・し・はわかるんじゃないか、と思っている。


だから、まだハルキ氏には追いつけないけれど。

スプートニクの恋人」が、いちばん美しく、すとんと来たかな。

最後の

「しかしぼくは急がない。もうとくに急ぐ必要はないのだ。」

の結末がよかった。

「国境の南~」ほど悲壮感はない。

このふたつの作品の間の年月が、結末をそうさせたんだ、と思う。



「ねじまき鳥」を当時貸してくれた、S先生はいまどうしているだろう。

当時はS先生と上手にハルキ論をたたかわせられなかったけど、

たしかもう40代後半?になられたS先生の今のハルキ論を聞いてみたいなあ、ととても思う。


長くなりすぎそうなので、この辺で。