2011-09-11

アメリカの超高層ビル

飛行機が2機、まるで映画のように

吸い込まれていった映像を

目の当たりにしてから10年。

コマ送りをしたビデオのように

記憶に焼きついている。

「この子の将来はどうなるんだろう」

と漠然と抱いた黒雲のような不安。



棚から物ががらがらと落ち

地面がさけるかと感じるほど揺れ

我に返ってみれば

目を疑うような光景が

TVに映し出された大地震から半年。

幼稚園の子たちは小さな園庭の真ん中で

さらに小さくなるように丸く寄り添って

親の到着を待っていた。



「この子」は来月10歳になり

すくすくと育った。

今夜は明日が中秋の名月という日で

夜空を見上げれば雲ひとつなく

満月の中でうさぎがもちをついている。





過ぎ去った日は戻らない。

起きたことは取り返しがつかない。

たとえそれが夢か現実か

今となってはよくわからない という出来事だったとしても。



ただこれからも

手触りのある感覚のなかで

足もとを見つめて

よりよく生きる方法を

試行錯誤しながらさがし、進んでいくだけ。



節目は始業式や卒業式や

誕生日や結婚式やお葬式だけじゃない。



そんな区切りの日の 幸せ をかみしめる。



もういちど 夜空を見上げよう。

こんなに美しい月が

たぶん同じように 虫の音とともに

何億年も前からそうやってあることに

思いをはせながら。








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