通学路

通学路


入学後数日は、親も途中まで送り迎えしてください、ということで、ユーキと一緒に通りへ出る。

朝7:20分。

スクールガードのベストを着たおじさんがやってくる。

横断歩道に、旗振りの当番のお母さんが立つ。

つぎつぎとランドセルを背負った子どもたちが歩いてくる。


近所のお母さん方も何人か。

新学期ばなしに花が咲く。


朝のこの時間に、こんなコミュニティがあったのかーと新体験。

これまで幼稚園はもっと遅い始まりだったので。


こんな感じで通学できれば、ひと安心かな…。



私の入学した頃を振り返る。

リュウケンドウをまっすぐ歩いて約30分。

通りすがるフォルクスワーゲンの数を友達と数えた。

水色(だったかな。)のワーゲンを見つけたら、幸福になれる、とかいううわさがあった。

途中、外に見本の門扉をたくさん置いてある会社があって、「こんにちはー」とごっこ遊びしたり、行ったり来たりして遊んだ。

小さな川に、ささ舟を作って流した。

道ばたの花壇に咲いていた赤いサルビアの甘い汁を吸って飲んだ。

桑畑の真紫色のドドメ(桑の実)を取って、食べた。

でも、「食べたら病気になるからやめなさい!」と母親にしかられてやめた。

どぶ川でザリガニをとって、学校へ持っていった。

川に黄色い帽子を落として、取りに行って、戻ろうとしたら、急な土手のぬかるみに足をとられて登れなくなった。

友達にひっぱってもらってなんとか上がれたけど、怖かった。

その泥汚れの理由をお母さんに報告するのも怖かった。

冬は、霜柱をバリバリ踏んであるいた。

それから、側溝で洗った大根のいらない葉っぱが、ずーっと道ばたに並んで捨てられていて、その上も踏んで歩いた。シャリシャリとした踏み心地が気持ちよかった。

遠くに赤城山がてっぺんから裾野まできれいに見えた。吹き下ろす風が冷たかった。

白い体操服はすぐにいろんな色が付いてまっくろになった。


あ、あとまた思い出した。

そういえば、長い通学路の途中、モヨオしてくると、草むらに隠れてしたこともたびたび!(大小、かまわず…笑)。

友達に「ちょっと見張ってて!」と頼んで、後ろを向いていてもらって、

自分はズボンを下ろしてしゃがみ…。

オシリをなでるひやっとした空気に、羞恥心と、開放感と、罪悪感がないまぜになったような心持ちになったものだったなあ。

ま、せいぜい小学校2年生くらいまでだったかなあ~そんなことしたのは。

今の子(しかも女の子)は、さすがにそんなことしない(できない)のかなあーどうなんだろ。



ユーキはいったいどんな「通学路体験」をするんだろう。

安全がもっとも大切だけど、いったいそのうえ、大人になって後、なつかしく思い出すような体験をすることがあるだろうか。

「ママ」の目の届かないところで、成長していくきみのまわりが、より豊かなものでありますように。