読んだ。

じつは、東進の「全国統一中学生テスト」(5月・無料)を息子が受けて、

その時の「国語」の試験問題の中で取り上げられていた「小説」が↑こちら↑の一部抜粋だったので、そのお話の続き(全容)を知りたいと思い、図書館で借りてみたというわけだ。

 

テストでは、A4用紙に数ページにもわたり問題文として掲載されているが、「当時の花井は優等生で、・・・」と文章がはじまる。

主人公の「私」と一緒だった小学校時代のエピソードということで、「優等生」のように見えて実は性根の曲がったいじめっ子として描かれる花井と、いじめられる私という構図で物語が展開している。

 

問題文だけで読むと、その小学校時代の話がメインだと想像し、その前後の話題がどうなっているのだろう、という程度の認識で気になっていた。

 

しかし、文庫本1冊にわたるその本文を読むと、まったくそのイメージは裏切られ、予想をはるかに超えた深い世界を描いた小説だった。

 

「当時の・・・」の書き出しからも気付けたかもしれないが、小説は大人になってから再開した2人に起きていることが中心で、主人公の「私」が花井の心中をさぐりながら自分の内面をも見つめるストーリーであって、どう進んでいくのかと、ページをめくる手がとまらなかった。

 

小学校時代のエピソードであれば、中学生が読んで理解できるだろう。ただ、これを1冊読み終えて、その本当の言いたいところを中学生がわかるだろうか。

 

息子も読んでおもしろかったらしく、読む手を止めることなく2時間くらいで読み切っていたが、「どうして花井が最後に○○○○○なのか、わからない。」と言っていた。

(※ネタバレになるので伏せておく。)

 

それはそうだろう。ある程度の大人になって人生経験を積んだり、見聞を広めたりした後でしか、感じられないことがある。

 

中学生の国語の問題として、この作品(芥川賞を受賞している評価の高い小説だが)を取り上げたことは、冒険ではないかと思う。

けれど、一部しか理解できなくても、大人になったときに「いつか読んだ記憶がある」と再読し、その味わいがわかればそれでいいし、そこまで考えて出題されているなら、この作品に出合わせてくれてありがとう、と思うくらいだ。

 

私も久しぶりにおもしろく、考えさせられた小説を読んだ。

 

辻人成さんの小説は恋愛ものが多いと思っていたし、文章も好きで以前から楽しんでいたけれど、この作品は少し別格。

 

興味を持って久しぶりに辻さんのブログをのぞいたけど、いいパパをしているし、音楽活動も料理も精力的で変わらず多彩。

 

しかも現在61さい・・・。

 

私もとしをとったけど、みんなで年を重ねているんだ(笑)あたりまえだけど。

 

(※それにしても、コクゴのモンダイは、昔から変わらずどうしてこう味気ないんだろう・・・

「・・・・とあるが、この意味として最も適当なものを次の・・・・」

「・・・・とあるが、その理由として・・・・どういうことか・・・・その説明として・・・」

       嫌んなるなあ)