なぜ音楽をやるのか

先日なにげなくTVをかけていたら、皇室番組をやっていた。

皇后美智子さまがピアノを演奏しているお姿。

何人かの弦楽器奏者と合奏されていた。

美智子さまはお若い頃からピアノを習っていて、長年のご趣味なのだそうだ。

では、なぜそうやってピアノを弾かれるのか。

美智子さまと親しいというピアニストの方が、美智子さまがある時こうおっしゃっていたことがある、と話していた。


「音楽をやっていると、心が正しい方へいくような気がするのです。」


うーむ。

私はそれからその言葉が妙に心に留まって、時々思い出しては反芻せずにいられない。

なんだか日々忙しい毎日。

いまは日も短いし、一日があっという間だ。

朝起きて、朝ご飯準備して、洗濯物干して、お昼、お風呂、夕飯、ひとりひとりの子どもの要求、etc…

これが終わったら、自分の机の整理をしよう。これを終えたら本を読みたい。そんなことを考えながらルーチンワークをやっていると、いつの間にか手を早め、心を急がせ、気持ちにゆとりがなくなっている。

そして、さあちょっと時間ができた…と思うそばから、次の「やらねばならぬこと」がもちあがってきていたりする。

頭に角が生えて、湯気が出そうになってくる。

ああ、これではいけない、いけない…。


そんな時。

わざわざピアノのまえに腰掛けてみる。

いちばん小さな子どもを抱っこして。

そして、「ドレミ…」と弾き始めてみる。

あとの2人の子どもが集まってくる。

歌をうたいはじめる。

笑顔がうまれてくる。

心が軽くなって、同じひとつのことに集中して、みんなで楽しんでいる充実感がわいてくる。

気分が変わり、子どもたちも落ち着いている。



…こういうことなのかもしれない、と思う。

音楽の、効用。

でも、とくに音楽でなくてもいいとも思うけど、それでも私たちはこうやって心を動かすことができるのだ。


せまる大みそか、師走のいちにち。

そんな中でも心にゆとりをもっていきたいものだ。

今年も無事に終えられ、よい年が迎えられますように!